『MWF』とは歯周外科処置の種類のひとつです。
歯周外科処置には生物学的幅径(当HPの歯周外科参照)を適正にするという目的がありますが、結果として歯茎が下がりすぎてしまう事になります。
審美的な要素を含みにくい臼歯部より、前歯部で問題になることが多いです。
歯茎が下がったことで歯が長く見えてしまい審美性が下がること、息漏れが生じ発音に支障をきたすことが挙げられます。
今回のMWFはそんな部分を補う目的で多くは前歯部で行われる方法です。
実際の前歯部・臼歯部の症例を比較しながらご説明していきたいと思います。
黄枠は歯石を取ってブラッシングも適正に行えるようになり初期治療が終了した状態です。
赤い線が現在の骨の位置で青い線が本来の骨の位置です。距離にして5mm以上はあると思います。
この分だけ歯茎が厚みを増していることになります。生物学的幅径のバランスが崩れている状態です。
臼歯部の切開線の位置です。歯から離れているためオペ後に歯茎は下がります。
MWFは切開線の位置を歯から1mm未満に設定し、切除は内縁上皮のみにとどめて歯肉(歯茎)を極力残します。
歯面についている汚れを丁寧に除去し、滑沢に研磨を行います。
取り残しがないか確認をします。
ずれが生じないように正中から縫合を行います。
死腔を無くすためにガーゼで圧迫します。
臼歯部においては審美性にほぼ影響が出ないので、清掃性の向上を重視して矢印の部分のようにしっかり歯茎のラインを下げていくことが多いです。
オペ後3ヶ月の状態です。
大幅な審美性の低下や発音障害もなく、順調に経過しました。
歯茎が下がった影響で冷水痛(冷たいものを飲むと凍みる等)の症状が一時的に出ましたが、現在は落ち着いている状態です。
メンテナンスがんばりましょう。