「ディスタルウェッジ」とは「歯肉切除」のことで歯周外科の術式のひとつです(歯周外科の詳しい説明は当HPの「歯周外科」を参照)。
言葉だけ聞くととても怖い処置に聞こえますが、このページで少しでも不安を取り除いていただければと思います。
歯科領域における代表的な外科処置は抜歯です。乱暴な言い方をすれば『抜歯は破壊行為』『歯周外科は形態修正』ですから術後の痛みや腫れは少ない処置といえます。
どのような場面でこの処置をするかというと被せ物を入れる術前処置として行います。
実際の症例です。
白く写っているのが仮歯です。これから最終的な被せ物にします。
一見何の問題もないように見えますが・・・
仮歯を取ったところです。
矢印の歯茎が歯の位置より高くなっています。
これでは被せ物も薄く仕上がり、ただでさえ強い力のかかる奥歯ですから長期の予後に疑問符がつきます。
そこで外科処置をして強制的に歯茎の位置関係を変えていきます。
術直後の状態です。
余分な歯茎を除去しました。
この状態で2ヶ月から3ヶ月経過を診ます。
歯茎も綺麗に治りました。
比較すると、余分な歯茎がなくなった分だけ歯の高さが得られました。
これで厚みのあるしっかりとした被せ物が作れます。
口の中の傷は一般に治癒が早いと言われています。
歯茎がなぜピンク色かというとたくさんの毛細血管が透けているからです。血液は栄養を運んでくれます。
血管が豊富ということはその分、組織の再生が早いことを意味しています。
治療に対するご理解が得られた上でこのような処置をさせていただいています。